Technology
超越技術®について

はじめに

『超越技術®』は、材料科学や医療分野を始めとした多くの分野に深く関わる進展が期待でき、
世界的テーマである脱プラやSDGs、さらに経済と環境の好循環政策に寄与できる
日本人による日本発の安全な最先端技術です。

超越技術®とは

『超越技術®』は 1997 年に発明され現在も研究が続けられている、
日本人による日本発の独自のシリカコーティング技術です。殆ど常温常圧の環境下で強酸を必要とせずに、
空気中または物質中の OH 基(水分や湿気)に反応することでガラス質の薄膜を生成するものです。
化学的に中性であり生体に有害な物質を含まず、廃棄後も環境中で自然に分解するため、
人体や環境に負荷を与えません。

※超越技術は株式会社超越化研の登録商標です。

超越液剤の特長

使用方法】

紙、木材、石、樹脂、金属等に超越液剤を塗布し、
化学反応結合により基材の表面や内側にガラス薄膜を生成。

【効力・効果】

本来ガラスが持つ撥水性・撥油性・剛性を向上させ、耐熱・難燃・絶縁性・透光性・
放射線遮蔽・抗菌性(吸着・分解)などを付与できる。
常温・液体での作業のため、素材を損傷させずムラなく塗装可能。
化学的に中性で、モノにも人体にも安全な膜層を3次元方向に生成します。

基本的に液剤は無色透明です。また粘度は概ね 0.002~0.016Pa.s と施工性に優れています。
液剤は 1 種類ではありません。求める機能要件により、膜層の変化を作り出すことが可能です。
硬さ、柔軟性、成型追随性、バリア性などへの対応が可能です。
常温常圧で多量の水や強酸を必要とせず 3 次元方向に基材の繊維と化学結合反応を生成します。
(基本的に加温でその反応は促進します。)

超越液剤の活用

超越液剤には以下のような機能が備わっています。

○環境に負荷をかけない

ガラス質の薄膜を、ほとんど常温常圧で大量の水や強酸を必要とせずに反応生成する技術です。化学的にも中性で石油系樹脂を含まない人体や自然環境に負荷の無い安全な技術です。
また、燃焼などにより分解した際にはケイ素に戻り環境を汚染することはありません。家庭ごみとして捨てることが出来ます。

①人体に安全

石油系樹脂を含まない液剤のため人体に安全で、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証に準ずるHeckmanReportを取得し塗工スプーンが、EU向食品接触試験をパスし、シリカジェンコートの安全性が確認されました。

②撥水

基材の風合いを損なうことなく、強い撥水機能を付与することが可能です。紙に塗布した場合、水中に長時間浸漬した場合も形状を維持します。

③撥油

オリーブオイルなど分子が小さく、分子間の密度が小さい油分を浸透させないことも可能です。

④防汚・抗菌

結合反応したアモルファスの中に均一にチタン化合物が分散され吸着と分解を行い、光触媒と同様の防汚・抗菌作用を発揮、効果はゆるやかに長期間持続します。暗所でも一定の効果が発揮される特徴を持ちます。

⑤難燃

超越技術®を施した木や紙など基材は、ガラス薄膜に覆われるため、酸素と結合しにくく、燃えにくくなります。

⑥耐候

液剤を塗布することにより、目視では確認できないような小さな亀裂や凹凸を三次元方向に塞いでいきます。木材の場合は表面などからの浸水防止、紫外線による変色、退色、木材の劣化を防止できます。

⑦強度向上

木材に塗布した場合は、表面硬度の向上、紙や布など繊維を含む基材に塗布した場合は、ガラス皮膜が繊維をコーティングすることにより引張強度が向上します。

液剤への技術活用例

機能

人体に
安全

撥水

撥油

防汚
抗菌

難燃

耐紫外線
耐候

強度向上

バリア性

※塗布する素材によっては、対応できない場合もあります。

⑨放射線遮蔽

超越技術は、放射線が地球・人体に与える影響の軽減にも研究を進め、液剤にタングステン分子を均等に分散させることに成功しています。
放射性物質の飛散を防止する技術や、紙など繊維にコーティングして鉛を上回る放射線遮蔽性を有する素材を開発し、現在では関連特許や実用新案を複数保有しております。

<メカニズム>

タングステンの微細な粉末は表面の酸化皮膜を通じ、シリカジェンコートとシロキサンを結合する。
タングステンと結合したシリカジェンコートを紙や繊維に塗布・浸透させると、塗布面にはタングステン粉末が均一に分散される。

<放射性遮蔽布の制作・性能>
当社は、独自の放射線遮蔽技術を活用して、放射線遮蔽布を開発しました。
タングステン塗工布放射線遮蔽布はポリエステルを基材としております。
布の含有量は、タングステン740g/㎡(重量87.5%)、ポリエステル85g/㎡、ガラス薄膜105g/㎡です。

タングステン塗工放射線遮蔽布の外面と切断面の光学顕微鏡観察。
両図は、タングステン粉末が化学反応結合ガラス薄膜で覆われていて、布に均一かつ安定的に内包されていることを示しています。

<当社の放射性遮蔽服の特徴>

1)
高い放射線遮蔽性能

2)
強さに優れ、防水性と撥水性と同時に優れた柔軟性を保持
3)
運搬なども容易な軽さ
4)
用途にあわせた大きさで切り取り、ミシンで縫製する事が可能
5)
手でも簡単に折り曲げることができる
6)
切断面のタングステンは、ガラス質中にシロキサン結合という化学的に安定した形で取り込まれており、表面に露出することはない
7)
非鉛で米国の食料医薬品を司るFDA認定の安全物質である

<当社の放射性遮蔽布の製品化例>
①放射線遮蔽服を展開する企業様に、タングステンを調合した放射線遮蔽布を納品致しました。

イメージ8-7

②高エネルギー加速器の補助遮蔽として、コリメーターカバーを制作して納品しました。

目 的:
高エネルギー加速器の運転時の2次ガンマ線遮蔽機器周りの遮蔽

開発品:
保守、点検時の放射化した機器、遮蔽体からの崩壊ガンマ線遮蔽加速器の要所への着脱性と密着性が要求基準
材 料:
タングステン粉末塗工のフラット遮蔽布

<ご参考>
150keVX線と熱中性⼦に対する遮蔽性能
タングステン遮蔽布の遮蔽性能を京都⼤学複合原⼦⼒科学研究所 (KURNS)のイメージング装置で測定。線源は、TRIX-150WE-OC X線発⽣器の150 keV X線と原⼦炉KURのE-2孔の熱中性⼦である。シンチレータとCCDカメラとを組み合わせて縮緬加⼯布とフラット布のX線と中性⼦の透過イメージング像を撮影しました。
結果は下記の通り。

図中左側の2図がX線透過結果を、右側が熱中性⼦の結果を⽰す。X線、中性⼦とも右側のフラット布の透過像には濃淡がなく、タングステンが均⼀に塗られたことが分かります。数値は、 布全体での放射線の透過割合です。また、1から透過割合を引いたものが布による放射線の遮蔽割合です。

上記は、タングステン遮蔽布の遮蔽性能を遮蔽率等で⽰したものです。
遮蔽率は、フラット布で46.8%とかなり⾼い。一方、縮緬加⼯のそれは59.4%であり、布の重量がフラット布のほぼ2倍であることを考慮すると、重量⽐ほどには⾼くないといえます。特に遮蔽体中の放射線の指数関な数的減衰を考慮してフラット布での減衰傾向を縮緬加⼯布の重量まで伸ばして評価した透過割合0.26から計算される遮蔽率の74%と⽐べると⼀層低い数値です。
夫々の遮蔽布の遮蔽性能は、フラット布で0.264mm、縮緬加⼯布で0.377 mmの厚さの鉛と同等。同じ重量での鉛と⽐べた遮蔽性能は、フラット布で3倍、縮緬加⼯布が約2倍となります。
また、熱中性⼦の透過率は、フラット布で98.9%、縮緬加⼯布では98.0%でした。その結果、中性⼦の遮蔽率はそれぞれ1.1%、2.0%であり、布の重さにほぼ⽐例していることが分かりました。

類似技術、競合技術との比較

超越技術は、散乱ガンマ線やX線遮蔽として総合的に高ランクに属する。

オリジナル開発液剤は問い合わせフォームよりお問い合わせ下さい

超越技術®の研究例

◇ シリカジェンコートを塗布したポリエステル生地(布)において
フッ素系撥水剤を超える撥水機能を持つことが確認されました。

 自社でポリエステル100%、ナイロン100%、綿100%の生地にシリカジェンコート及びフッ素系撥水剤を同量塗布し撥水機能検査を行った結果、ポリエステルではフッ素系撥水剤を上回る撥水機能を持つこと、ナイロンにおいてもポリエステルと同レベル(撥水機能4級)の撥水機能を持つことが確認されました。
フッ素系撥水剤の有害性が指摘される中、フッ素を全く含まない安全な撥水剤としてシリカジェンコートの需要が期待されます。(試験機関:一般財団法人 カケンテストセンター)

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◇ シリカジェンコートを塗工したスプーンが、食品接触試験をパスし、
シリカジェンコートの安全性が確認されました。

 使い捨てプラスチックが禁止されているEUで、代替品として注目される木製カトラリーに、当社シリカジェンコートを塗工したスプーンが、食品接触試験をパスし、シリカジェンコートの安全性が確認されました。EUでの木製カトラリーの早期実用化が期待されます。(試験機関:BUREAU VERITAS)

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◇ 超越技術®を応用し、歯科領域で用いられている可撤性義歯の表面を平滑化し、
効果的に抗菌化することに成功

 シリカ樹脂コーティング技術(超越技術®)を応用することにより、歯科領域で用いられている可撤性義歯の表面を平滑化するとともに、効果的に抗菌化することに成功した。鶴見大学、総合科学研究機構中性子科学センターおよび東京大学物性研究所等の共同研究グループは、シリカ樹脂コーティング技術(超越技術®)を用いて、抗菌活性を有するヒノキチオールを義歯表面に効果的に担持させることに成功し、CFUアッセイ,蛍光顕微鏡、走査型電子顕微鏡、フーリエ変換赤外分光法、プロトン核磁気共鳴法等を用いて、シリカ樹脂コーティング技術(超越技術®)の応用により、表面粗さの減少、疎水性の向上、義歯性口内炎の原因となる真菌Candida albicansの増殖を効果的に抑制できることを明らかにした。論文中では、シリカ樹脂コーティング技術(超越技術®)のさまざまな医療材料への応用の可能性にも言及されており、今後臨床応用に向けた研究を進める予定とされている。
 本研究結果の詳細は、2022年8月15日付でClinical Oral Investigation(電子版 https://doi.org/10.1007/s00784-022-04670-z)に掲載された。

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◇ シリカジェンコーティング:防汚・抗菌効果を示す高機能保護膜

東京大学と
総合科学研究機構 中性子科学センター(CROSS)

  • 紙に耐水性と適度な強度を与える、環境負荷の少ない「シリカジェンコーティング」において、酸化チタンナノ粒子が自発的に作られ、温和で持続的な光触媒効果を示すことを発見した。
  • コーティング皮膜は基材表面に強く固定されており、さらに光触媒効果による優れた汚れ防止効果・抗菌作用によって基材は長期間に渡って保護されることを確認した。
  • シリカジェンコーティングは紙をプラスチックの代用品とするだけでなく、ガラス、セラミック、プラスチックなどの素材に適用することにより優れた高機能保護膜として働き、材料の可能性を大きく広げることが期待される。

  • 東京大学 物性研究所プレスリリースはこちら
    本成果は、米国化学会出版のIndustrial & Engineering Chemistry Research誌の5月13日出版号に掲載された。

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◇ シリカジェンコーティングの文化財への活用

超越技術の撥水・防汚・抗菌などの効果を、
文化財の自然の形のままでの維持・保存、風化・菌類や塩害からの防止に役立てる試みが始まっています

・鋸山美術館、房州石・外壁一部への実験塗工
    実験先:公益財団法人 鋸山美術館※1 -

実験塗工内容:鋸山美術館外壁の房州石やコンクリート打ち放し部分のうち、劣化していると見られる部分へ、2022年11月18日にシリカジェンコート~防汚・抗菌用~を塗布、その後の経過を観察中。

◎房州石※2への塗工

矢印

房州石に付着した地衣類が少なくなってきているようにみえる。また、石自体の汚れや劣化を防げているようにみえる。今後も継続して経過を見守り、効果を検証していく。

◎外壁コンクリート一部への塗布

矢印

現物は塗布部分は風雨・塩害・沿道の排気ガスに関わらず、表面の劣化を抑えられている。今後も継続して経過を見守り、効果を検証していく。

【鋸山美術館・鈴木館長の感想】
シリカジェンコートを塗布した房州石は、付着した地衣類が徐々に退行しており、うれしく思っている。また、シリカジェンコートを塗布したコンクリートは、他の部分に比べて劣化が少ないように感じている。

※1:鋸山美術館について:2010年3月に金谷美術館としてオープン。
「石と芸術」をテーマに町おこしに取り組む千葉県富津市金谷の「芸術」のシンボルとして、現在まで地域住民と観光客に親しまれてきた。2020年には千葉県の名山、鋸山の名を冠した「鋸山美術館」に名称変更。それ以降、さらに芸術、文化を通じた地域活性、教育普及そして地元への貢献を進める美術館として活動中。鋸山コンクールやスイス、スウェーデンとの文化交流展、日本美術界の第一線で活躍する作家の企画展などを常時開催中。 東京湾フェリー金谷港より徒歩1分、JR内房線浜金谷駅より徒歩5分、館山道富津金谷インターチェンジより車で3分の場所に位置している。
https://nokogiriyama.com/
※2:房州石について:房総半島中南部の鋸山及びその周辺から切り出された凝灰質砂岩ないし火山礫凝灰岩の総称。今回塗布したものは、鋸山から採取されたもの。

◇ 超越技術®によりマスク不織布フィルターの抗ウイルス化に成功

鶴見大学歯学部口腔内科学講座の里村一人教授らの研究グループ

 (株)超越化研が開発したシリカ樹脂コーティング技術(超越技術®)を応用することにより、医療現場で広く用いられているサージカルマスク内の不織布フィルターを効果的に抗ウイルス化することに成功した。鶴見大学歯学部口腔内科学講座の里村一人教授らの研究グループが、超越技術®と種々の抗菌薬を併用することにより、サージカルマスク不織布フィルターの繊維表面に効果的に抗菌物質を担持させることに成功し、検証したいずれの抗菌薬を用いてもヒトコロナウイルスに対して99.999%以上の不活化効果を不織布に付与できたとしている。これにより、超越技術®を応用することで既成のマスクを簡便に抗菌化・抗ウイルス化することが可能となった。さらに論文中では、超越技術®により、さまざまな材料の表面に種々の機能物質を容易に担持させることができる可能性にも言及している。
 本研究結果の詳細は、2022年3月22日付でInternational Journal of Environmental Research and Public Health(電子版 https://doi.org/10.3390/ijerph19063639)に掲載された。

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